No.01「とある少女の○●○」

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 遠足でよく見かける光景がある・・・・
「先生!おやつはいくらまでですか?」
「なにか遊ぶモノをもっていってもいいですか?」
 て、これは遠足前の光景である・・・・。
 「遠足のしおり」を手に担当の教師が生徒達に話をする。
 話は流れ通り、「気を付けること」という項目に移っていく。
「一つ目〜、夜は早く寝ること!」
 と、いうふうにわざわざ書いてあることを読み上げていく。
 その項目の中にいつも必ずあること。
「トイレは必ず済ませてくること〜!」
 加えて、先生が「小便」や「大便」などというと、高学年とはいえ小学生の彼らは過剰に反応し、面白可笑しく笑う。
 これも毎回の光景であろう。

 だが、これらは全て経験に基づいて書かれた事項なのである。
 本来は何一つ怠ってはならないのだ。

(うぅ〜・・・・お腹痛いよ〜・・・・)
 ここにとある少女がいた。
 クラスでも人気があり、元気いっぱいの少女である。
 遠足でもきっと退屈なバスを盛り上げる・・・・筈であった。
 だが、今日の彼女はいつもの元気が無く、大人しかった。
(うぅ〜・・・う、う○ち・・・ちゃんと朝してくればよかったよ〜・・・・)
 彼女は「遠足のしおり」の注意項目「トイレは済ませてくること」を怠った生徒の1人であった。
 他にも、朝トイレを済ませてこなかった生徒はいただろう。彼女の場合は、それを怠った「結果」が如実に表れてしまった、「不運」な少女であったのだ。
(ど、どうしよお〜・・・・・次のおトイレまで、ガマンできるかなぁ・・・・)
 「ぐるるる〜」っと、お腹が唸ると、その後には苦痛でしかない腹痛と便意が彼女を苛むのだ。
「うっ!」
  ビクッ!
 今までよりも、強い『波』があったのであろう・・・体が僅かに跳ね、手が自然とお腹に行く。
(ああぁっ!!どうしよ、どうしよ、どうしよぉぉ〜!)
 Tシャツの裾をギュッと握り、時折お腹を押さえているのを誤魔化す。
 やはり12歳にもなると思春期の入り口ということもあり羞恥心が強い時期だ。
 そんなときに、同年代の少年少女に、

『あの子、う○こしたいんじゃないの?』

 と、思われるのは、彼女にとって恥辱以外何ものでもない。
(先生にそっと言おうかな・・・でも、行く前にみんなの横を通らなきゃいけないし・・・)
 早く「排泄」したいけど、恥ずかしい思いはしたくない。
(友達に言って・・・・・ダメ!こんなこと知られたくない!)
 楽になるために、幼いながら様々な思考を巡らすのだが、どれも否定した。
(あうぅ〜!!ど、どーしよぉ・・・・も、もうガマン・・・できないよぉ・・・)
  ブフッ!
「っ!」
 ビクリッ!と大きく体が跳ねる。
 その音が周りに聞こえていないか・・・・キョロキョロと彼女は見回す。
 幸いバスは盛り上がっており、その音に気が付いた者はいなかった。
(オナラ・・・でちゃった・・・・・・聞こえてないよね?)
「ひっ!!」
  ぶぷぷっ!ぷすっ!・・・・・・ぷぅ!
 押さえたくても、押さえられない・・・・イヤ、本当は止められるであろうオナラは、彼女の苦痛を紛らわす為に、故意的に押さえていないのだ。
(ヤだ!・・・止まってよぉ・・・・)
 そんなことを思っても、ココロの深層では彼女は「排気」を望んでいるのだ!
「うぅう〜・・・・・・・」
 ガスも無くなり・・・いよいよ、「本命」が迫ってきた。

(も・・・も・・・う・・・・だ・・ダメ・・・・かも・・・・)

 遠足という少年少女を掻き立てるイベント。
 学校から出られるという、特殊な状況に彼らの精神は興奮状態にある。
 更に、バスとい閉鎖された空間が彼らの発する熱気を包み込み、それが彼らの脳内物質を刺激する。
 そんな雰囲気にとけ込んだ彼らは・・・・1人の少女の「異常」に気が付かなかった。
 普段は活発で元気一杯!笑顔を振りまき、クラスの人気者の少女。
 そんな少女がこのイベントに大人しく、無口でいることに・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・だれも気が付かなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・

(あ・・・・あぁ・・・・だめっ!・・・・・だめぇっ!!・・・・・・)

ガヤガヤガヤ・・・・・ハハハハハハハ!!

(で・・・・出ないで!・・・・出ちゃダメ!・・・・うっ!・・・で、でちゃうっ!・・・・うぅっ!!)

キャハハハハ!・・・・・・・・ワヤワヤワヤ!!

(あ、あぁ・・も、漏れ・・・あ、あぁぁああぁぁぁぁああぁああぁ・・・・・・・・・・)

キャキャキャ!・・・・・ワアアアアー!!

(あぁ・・・・ぅんっ!・・・と、止まって・・・とまってよぉ〜・・んぁっ!・・・あぁあぁ・・・)

ガヤガヤガヤ・・・・・

(あ・・・出・・てる・・・・あたし・・・・お・・も・・ら・・し・・・しちゃって・・・る・・・・うぅ)

ガヤガヤガヤ・・・

(っっ!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)

(〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・)

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

(・・・・・・・・)


(・・・・・・・・・・・で・・・で、ちゃっ・・・た・・・・・・・・・・・・・)

(・・・・・・・・・間に、合わなかった・・・・・あたし・・・・・・)

「じゃあ次!オレンジの唄!!・・・・・・・・・・・・・っ?・・・・っ!!あああっ!!!」
 彼女の「異変」に気が付いたのは、運が悪く活発な男子であった。
 彼はカラオケのため車内マイクを握りしめていた。
 彼が見たのはぐったりした涙目のクラスメートと・・・・・彼女の下半身を包む、衣類からはみ出る軟らかめの・・・・

『う○こもらしてるー!!こいつー!!』

 彼はハウリングが起きるほどの声で叫んだのだった。


−担任の日誌より−
 本日、生徒達と遠足に行く。
 だが、(少女の氏名)が移動途中、バスの中にて大便を失禁してしまう。
 本人は「朝、トイレに行くのを忘れた」と泣きながら述べる。
 一度、コースを外れ、トイレのあるドライブインに止めて貰う。
 お漏らしに備えて、換えの下着を持っていったので、着替させるものの、本人はバスに戻りたがらず。
 何とか説得し、バスに乗せるも、本人にいつもの元気はなかった。
 他の生徒達にはしっかりと指導を行った。
 (少女の名前)ちゃんが早く立ち直れるよう、彼女のケアをしっかりとしていきたい。


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