No.07「夢」

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 あれはこの前私が公民館に行ったときのことだった。
 そのとき私は公民館の男女共用トイレで小用を足し手を洗っていた。すると、トイレの外からものすごい勢いで走ってくる足音が聞こえ、乱暴にドアが開かれたと思ったら女の子が駆け込んできたのだ。女の子は差し迫った様子で、手でお腹をさすっていた。私があっけにとられていると、その子は私の横を通り過ぎようとして私と接触しそうになり、

「すいません」

 と、申し訳なさそうに言って早足に個室に入ってしまった。
 小学校高学年くらいだろうか、ショートカットで、Tシャツにホットパンツという格好の活発そうな印象の子だった。

 私はある趣味を持った人間なので、すぐにその子が入った個室の隣の個室におとを立てないよう注意して忍び込んだ。音だけでも楽しめればいいと思ったのである。しかし、2つの個室を仕切る壁には1、2cmほどの穴が空いていたのだ! 私ははやる気持ちを抑えて覗き込んだ。

  ブチュ、ブチュブチュブチュブチュ……

 ゆるい便が水面にたたきつけられる音が聞こえた。その子は目をぎゅっとつぶりお腹を両手で抱えて腹痛に耐えていた。

「おなかいたい……」

 ほとんど聞き取れないほどの声でその子はつぶやいた。

  ブチュ、ビチュチュチュ……

 音が次第に断続的になってきて、腹痛も収まってきたのかその子は顔を上げてお腹をゆっくりさすっていた。そして終わったようでペーパーをとってお尻を拭き始めた。汚れが酷いようで何回も紙を取っていた。

 拭き終わってショーツとホットパンツをあげようとしたときその子は凍りついた。ショーツにべっとりと下痢がついていたのである。白地に青のストライプが入ったショーツがどろどろに汚れていた。このあとその子がとった行動は自分にとってはありがたいものとなった。その子はそっとショーツとホットパンツから足を抜きショーツを床に置きホットパンツをもう一度履いた。それから水を流し、なんと汚れたショーツを個室の隅に置いたてそのまま個室を後にしたのだ。その子は個室を出て水道で念入りに手を洗っていたようだ。

 私はその子がトイレを出て行ったのを見計らって隣の個室に移った。もちろんあの子が残した「もの」を回収するためである。実際にこのようなことに遭遇するとは考えたこともなかったので私自身も驚いていた。これが本当に夢ではないのかと確信が持てなかった。そしておそるおそるショーツに手をのばし、取って広げてみた。さっきの青ストライプショーツの、穴の真下にあったであろう部分を中心に黄土色の変色が広がっていた。次に上から覗き込むとそこには細かな未消化物が見て取れる、まさしく下痢がひろがっていた。消化不良特有のすっぱいような臭いもむわっとあがってきた。私は、これは夢なのではないかと思った。こんなことが起こるなんてありえない、と。しかし、せっかくの機会であり手に入れたものをみすみす手放す気もなかったので、私はそのお宝を持って個室を出た。

 そこで、私は女の子と目が合った。いつトイレに戻ってきたのか、さっきのあの子がそこに立っていた。そしてその子は私の手にあるものを見る。
 もう終わりだと思った。こんなことをしたことがばれたら許されるはずがないと、私は凍りついた。
 そう、それはまるでさっきのあの子表情とまったく同じだったに違いない。




<あとがき>

 どうも、kaibaです。「八神はやての失敗」に続き2作目の投稿です。
 この話は以前私が見た夢の内容をほぼそのまま活字で表現したものです。文中に「夢ではないのか」とありますが、夢です(笑)。なので、題名の意味はあとがきまで読んでやっとわかります。
 このたびはお読みいただきありがとうございました。拙い文章ですがなにとぞご容赦を。また書くなのでそのときもぜひお読みください。感想はLolisca Library BBSまでお願いします。

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