No.02「ゆうえみ」

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「ハンバーグ、おいしかったね」
「うん」
「じゃあそろそろどこか行こっか」
「その前にトイレ行ってくるね。待ってて」
「ユウちゃんトイレ行くの? ならエミも行く」
「ひとりでいけるよ」
「ううんエミもおしっこしたいから。いこ?」
「うん……」


「エミこーっち」
  ぎぃーばたん、かちゃ
「あ……ま、いっか」
  ばたん がちゃっ
「んっ……。ねー、どこ行く?」
  ずささっ かたん
  しゅい〜〜〜ぢゅいいいいい

「私は本屋さん行きたいかな。エミちゃんは?」
  ずさささっ するる しゅっ とん しゅるっ とんっ
  ばさっ ばさ ぱたぱた
  ぐっ かつん かつん

「じゃあエミも本屋でいーよ。ちょうど欲しいマンガあったし」
「なら本屋さん行くのに決定だね」
  ちゅい〜じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ

「そういえば何のマンガほしいの?」
「フレンドで連載してるウサギが出てくるやつ、なんだっけ……」
「ラビッツハート?」
「そう、それそれ!」
  ちゅぅ〜じょぼぼぼぼぼっ

「おねーちゃん途中で買わなくなったから、続きが気になるんだよね」
  しょろろろろ……ちょろっ ぴっ
「確か6巻までは買ってあったんだけど、そこがちょうど気になる終わり方でさー」
  ガラガラガラガラ ビッ
「うん」
  じょぼじょろろろろろ……しぃぃ〜しょろろろちょろろろっ ぴちゃっ

「だから自分で買おうと思って、さ」
  がたん
  ぐし、ぐし ガラガラガラガラ ビッ ガサッ ごし ぐし

「……」
  ぴちょん
「お小遣い少ないのにおねーちゃんもハンパだから困るんだよね」
  ぼとっ
  がこん
  ゴボボボボ〜 ゴボジャッ!

「ふー」
  ずざっ ずささっ くいっ
  パタン

「もう8巻まで出てるらしいんだけど、今日は7巻だけにしよっかな」
「……」
「ってユウちゃん、聞いてる?」
  がちゃっ きぃぃー がんっ
「うん、聞いてるよ」
「ほんと? 相槌ぐらいしてよー」
「うん」
「時々無口になるよね、ぼーっとしててかわいいけど」
「……」

「ほらまた静かになった〜。どうかしたの?」
「ううん」
「いつの間にか寝そうなくらいぼーっとするときあるからびっくりしちゃう」
「うん」
「トイレの中で寝ちゃったりとかしてない?」
「うん」
「さすがにしゃがみながら寝るなんて無理か〜あははっ」
「うん」

「ユウちゃんまだ?」
「うん。待って」
「もしかして出ないとか?」
「うん。出そうなんだけど」
「それってひんにょーってヤツ? おばあちゃんがひんにょーで夜何回もトイレ行くんだよね」
「えっと、ちが――」
「エミがおしっこしたいのに先入ってるからチビりそうになったときがあってさ!」
「あ、うん」
「……どう? おしっこ出そう?」
「ううん。もう済ませた」
「なんだ。じゃあ早く行こうよ」
「うん。ちょっと待ってて」

「何? メールでもしてるの?」
「……」
「学校でケータイ禁止だからってトイレでこそこそメールする子が多くていつもトイレ混雑するよね。ほんと迷惑。でもここは学校じゃないから別に悪口言ってるんじゃないよ」
「私は学校にケータイ持ってかないよ」
「あ、そうなんだ」
「……」
  すりすり
「……」

「もうちょっと時間かかるから……先行ってて」
  ぷすー

「え、もしかして大きい方?」
「うん」
「あ、トイレ入ってからしたくなったの?」
「ううん」
「最初からウンチしたかったの?」
「そうだよ」
「そうなんだ……」
「ご飯食べ終わったらうんちしたくなったの。だから、」
「ごめんね」
「何が?」

「ユウちゃんがウンチしたかったんなら、エミは後でトイレすればよかったかなって」
「なんで?」
「えっ友達いるのにウンチするのって恥ずかしくない?」
「別に。ここ学校じゃないし」
「学校だったら恥ずかしいんだ」
「だってみんなしてからかってくるし」
「だよね」
「お腹こわしてピーピーなのにうんこ女とか言われるのは、や」

「あ、この前の体調悪かったとき?」
「うん。んー……」
  ギチ、グググ

「好きでお腹こわしたんじゃないのに、しょうがないじゃん。だってすごくお腹いたかったし、ピーピーだったし」
「授業中に行かせてもらえなくて、休み時間になってすぐにトイレいってたね」
「だってほんとにお腹いたくて、我慢できなくてうんち出そうだったんだもん。それなのに下痢ピー女とかおかしいよね。みんなうんちしないのかな」
「いや、すると思うけど」
「エミちゃんだってうんちするでしょ」
「え、いや、まぁうん。でも学校でしたことは全然ないかな」
「ないの?」
「四年生になってからは一回だけ、かなぁ」
「お腹壊したの?」
「ううん、朝にトイレ行ったけどあの、でなくって、学校着いてから……うん」
「ふん、うんっ」

「……」
「ちゃんとできた?」
「話すの待ってたんだ。はずいなぁ、トイレの話するの」
「エミちゃんじゃなかったら大きい方の話なんかしないよ」
「エミは誰相手でも気になるんだけど、ユウちゃんの聞いちゃったし、いっか」
「ふ」
  ミチ ミチッ

「ええとね、エミは朝お家でウンチしてくるんだけど、トイレにいったら妹が先入っててさ。マイペースだからトイレも遅くって順番待ちしてる間にウンチしたくなくなっちゃって……」
「へぇ」
「あの子ウンチだと5分以上もゆっくりするから入れ替わりで入ったときにはウンチしたくなくなっちゃったの」
「エミちゃんは毎朝うんち出るの?」
「最近便秘気味で3日に1回くらい。んで、時間もなくってちょっとしか出なかったけどバスの時間近かったし切り上げたの」
  ミチュチュッ

「それでバス乗り込んだら急にしたくなって……。学校着いてすぐトイレ行ったんだけどクラスメイトいたし、ちょっとしたくなくなったから我慢したの」
「そうなんだ」

「そうなの。ほんとはずっとウンチしたくて、授業中も我慢してたんだけど、二時間目の途中にどうしても我慢できなくなって、なんとか耐えて休み時間に体育館のトイレで、……しちゃった」
「? 体育あったの?」
「なかったけど、他のクラスが体育ない時間は誰もいないから。他の女子とかもこっそり行ってるよ」
「ふぅん」
「……えと、その、どう?」
「なにが?」
「もう、出そう? ぅ、ウンチ」
「まだ。なんか便秘になって最近出てない」
「あーだから時間かかってるんだ。エミと同じだね」

「そう。もう5日くらいしてない、んぐ」
  ギチ、ミチチ ぷすっ ちゅいっ

「あの日お腹壊してからあまりうんちでなくなったかも」
「すごい音だったもんね……治ってよかったけど、便秘かぁ」
「音聞いてたの? エミちゃんもトイレに見にきたの?」
「別にエミはからかいにじゃないよ? たまたまおしっこしたかっただけだし、それにユウちゃんのこと心配だったから、その。ほら、声かけたじゃん! 大丈夫? って」
「うん。嬉しかった」
「変なこと言ってごめんね。隣でトイレしてたからどうしても」
「別にいいの。だからエミちゃんとならうんちしてても、だいじょうぶ」

「エミとならいいの?」
「エミちゃんは私がうんちしてても笑わないもん」
「ま、まぁそうだけど……。ウンチしてるってバレたら恥ずかしくない?」
「笑わないなら、別に」
「ユウちゃん、すごいね」
「すごくないよ。だってうんちしたくなるのは自然だもん。おしっこと同じだよ? んっ、ん……」
  ググ、ミチチ、ミチチチチ
「学校じゃなくても友達といるのにウンチするってバレたらいやじゃん」
「そうかな」
「そうだよ〜。もしどうしてもウンチしたくてコッソリトイレ行こうとしてみんな着いてきたら我慢するよ、エミは」
「私は我慢しないけど」
「恥ずかしくない?」
「学校だったらちょっと我慢するけど、後でお腹いたくなるのいやだし。それにお腹いたかったら我慢しないよ」
「へぇー」

「うんち我慢してたら気持ち悪くならない?」
「そんなのよりバレる方が嫌かなー。何とか我慢して家でする」
「家まで持つ?」
「午後からなら」
「ご飯食べたらうんちしたくなるから、昼休みとか。がまんできない」
「あ〜うん、昼はね。臭いでバレない?」
「うんちの時はいつも奥の洋式だから、あまり。後から入る子にはばれるけど」
「じゃあエミは和式使えばよかったね。洋式一個だけだったし」
「別にいいよ」
「今空いてるよ? ってか誰も来てないし」
「ちょっと出てきてるから、いい」
  ギチ、ミチ

「あ、出そう」
  ミリリ……

「ふぅ、んっ」
  ミチミチミチ、ボチャン

「はぁー。あ、ん……」
  ミリミリ ミチミチ ボトン ボチャン
  ぷしゅー

「すっきりした?」
「ううん、まだかかるから、先行っててもいいよ」
「便秘だとやっぱ時間かかる?」
「うん。いっぱい出るし」
「エミは一気に出てくるんだけどな。ま、いいや、待ってるよ」
「くさいよ」
「ウンチなんてみんな臭いじゃん。やっぱ恥ずかしい?」

「もぉ……」
  むりむりむりゅ

「うんち、出る」
  みりみりみりみり、ぶりぶりぼちゃん! ぼとん!
  みちち……ぼとっ

「はぁ〜」
「もうすっきりした?」
「ちょっと声笑ってるんだけど」
「そんなことないよ。すごく気持ちよさそうにウンチしてるから、つい」
「もー」
「で、どう?」
「まだ出そう」
「えっ!」
「ほんとに、5日くらい出てないもん」
「さっきも聞いたけど、長いね」

「毎朝きばってるけど、全然出ないんだもん」
  むりっ ぶりぶりっ ぶちゅ

「ふ、う」
  ぶりみちみちみちみちちゅっ! みちぶりっ!
  ぷりぷりぷり……

「ぁ」
  ぶ、ぷす

「どしたの?」
「おならでそう」
「うん」
「さすがに、おならは聴かれるのいやかも」
「さっきしてたじゃん」
「すごいおおきいの、でそうなの」
「別にエミは気にしないから。もうウンチの音も聞いたじゃん」
「おならは、恥ずかしいよ……」
「いいからいいから」
「でてってよぉ」
「エミも今からトイレしよっかな?」
「もう済んだでしょぉ」

「お腹痛くなってきたかな〜」
「あ、ずるぃょ……ぅう、くふぅ、んぁ!」
  バボブッ!! ――ボッ! ブゥゥ〜〜〜〜〜ッ! ブブリッ!
  ブビッ ブシュ〜〜〜ッ!!
  ぶひゅっ

「あっ、もうぅ、やぁ……」
  むりゅ ぽちゃん

「はぁ〜……」
「ひどい便秘ってガス溜まるんだね」
「くさいからもう出てってぇ!」
「はいはい。ごめんね」
「エミちゃんのいじわるぅ。ん」
  すりすり

「ん〜」
  さすさす

「まだ出そう?」
「うん。でも出ない、かな。って、あっち行ってってば」
「はいはい」
  すり、すり

「う、ん。んぐ。はぁ」
  ガラガラガラガラからんっ からからから……

「ぁ。あれっ。……待って! エミちゃん」
「えー何?」
「紙、切れた」
「えっ?」
「トイレットペーパー、切れちゃった」
「タンクの上にないの?」
「もうない……取ってきて」
「え〜きこえなーい」
「お尻拭けないから、取ってきてよ」
「出てってっていったじゃん」
「おねがい」
「くさいとこ行ってもいいの?」
「う〜! いいからぁ!」

「はいはい。――用具庫にあったよ。投げる?」
「無理。しゃがんでるから取れない」
「じゃあドア開けてよ」
「え?」
「投げるのもできないなら、そうじゃないと渡せないじゃん」
「やだ、恥ずかしいよ」
「脱いでるとこ見られるの?」
「うんち、見られる……私の」
「さすがに一緒にいるのはいいけど、見られるのはダメか」
「当たり前だよ!」

「流せば?」
「水もったいない」
「じゃあそのままで開けてよ」
「やだ……じゃあ流す」
  ゴボボボ ボジャ――――ッ! ……ゴボボボボッ

「いっぱいしてたけど流れた?」
「流れたもん! 残った紙でちょっと拭くから待って」
  ぐしぐし みちゃ

「ぅ」
  ぼとん

「開けるね」
  ぎぃぃ

「え〜ユウちゃん下全部脱いでる」
「見ないでっ」
「しゃがんだままだと届かないよ?」
「エミちゃんが手伸ばしてよ。立ち上がれない」
「なんで?」
「なんでも!」
「ふ〜ん? そういうことね。はい」
  ……ばたん がちゃっ

「……ありがと」
「いーえ」
  がたがた かたん がたっ ことん

「ふぅ」
  ガラガラガラガラ ビッ

「そういえば下半身ハダカだったね」
「? うん」
「ユウちゃんってウンチのときは脱がないとだめなの?」
「なんか落ち着かない。和式だと足広げにくいし……」
  ぐし ぐに くちゅ

「ぅぅ」
  ごしごし ぼちゃ

「すっぽんぽんなんてなんかかわいー」
  ガラガラガラガラガラ びりっ ごしごし ぐしっ ぼと
  がらがらっ びっ ごし ぐしぐしっ ぼとん
  ガラガラガラガラ ビッ ごし……ぐに ぐにっ ぼとん

「んー」
  すりすり

「終わった?」
「うーん、まだすっきりしないかな。もうちょっと」
「えぇぇ〜。早くしてよ」

「わ、わかったってば。下穿いたら出るね」
  ふぁさっ するっ するするっ かつん するっするるっ
  ぐいっ
  ばさっ
  がこん
  ゴボジャーッ! ジャババババ〜〜ゴボボボボッ!
  がちゃ ぎぃぃ〜

「長いトイレだったね」
「からかわないでってば」
「ほら手を洗って。早くいこー」
「うん」
  かつかつかつ

「……?」
「どしたの?」
  すりすり……

「先行ってて」
「え〜〜〜! まだウンチ!?」
「うんち、やっぱしたくなってきた」
「す、すご」
「がまんした方が、いい?」
「後でトイレって言われても困るし!」
「ありがと。洋式つかお」
  ぱたぱたぱた ぎぃー ばたん! がちゃっ!
  がさがさがさ ずるるっ
  とすんむりゅっ ぽちゃん!

「何食べたらそんなに出るんだか……」
「え? 普通じゃないの?」
  ぷっ

「いや、そんなに出ないよ」
「エミちゃんはそうなの?」
「エミはフツー!」
「ええと、エミちゃんの言うふつーってどれくらい?」
「変なこと聞かないで!」

  さすさすさす
「あ〜」
  みゅるみゅるみゅるみゅりゅりゅ
  ぼちゃぼちゃぼちゃ
  ……かたん
  ぷすす

「ん……」
  ぷす〜〜

「まだ出そう」
  ばさ ずるずる ぐいっ

「え〜。おなら?」
「ううん、うんち」
  ぐっ

「どれだけ溜めてるの〜」
「ふぅん……」
  ぷすっ ぷすすすっ
  にちっ むりゅっ ぼちゃん

「はぁ」
  ぷりっ ぽとん
  ぷっ

「出た……」
  ちょろっ しょぼぼ
  がらがらがらがら びりっ
  ちょぽん
  かたっ ごし、ごし……
  がらがらびりっ
  ぐしぐし くにっ
  がらがらがらん びっ
  くにくに ぐにっ

「ふぅ」
  がたっ
  ずぞっ しゅるっ くいっ
  ガコン
  ゴボボボボ……ゴボジャバババッ!!

「おまたせ」
  がちゃん ぎぃ〜
「すごいウンチだったね」
「みんなには、ないしょだからね?」
「はいはい。エミとユウちゃんだけの、秘密だよ」


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