No.07「ある少女の波乱万丈な出来事」

時沢沙耶(ときさわさや):
身長:142cm、体重:?kg。
純粋な高校二年生の女の子。吹奏楽部員、サックスパート。
中学の時、色々あり地方の高校に通うことでそのことを忘れようとしている。
そのため、今は学校近くのマンションに一人暮らししている。
ささいなことでお腹を壊しやすく(冷房の効きすぎ、アイスの食べすぎ、気温の変化等)
よくトイレへと駆け込む。そのため、そういうことに関する知識が人より多くなっている。

霧宮楓(きりみやかえで):
身長:164cm、体重:?kg。
沙耶と同じ高校二年。沙耶と同じクラス、吹奏楽部員、クラリネットパート。
沙耶の(自称)友達。沙耶は認めてないっぽい。

柿村幸平(かきむらこうへい):
身長:185cm、体重:73kg。
沙耶と同じ高校二年。吹奏楽部員、サックスパート(パートリーダー)。
男女問わず人に優しくしようとしている。その過程にもいろいろあるようだ。


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 6月25日(土)
 はっ、と目を覚まし時計を見る。
 まだ三時過ぎだった。
「はあ、はあ」
 と荒い息を立てながら時沢沙耶は改めて自分を見る。
(はあ、貸してもらった服汗でびっしょりだよ……同じものを弁償するしかないのかな……それより……)
 と今見た夢を思いだす。
(夢……というより古い記憶……あんなことなんで思い出したんだろ?)
 続きを考えようとするがそれは聴き慣れた音によって遮られる。

  グウウゥゥゥゥッ!
「ぅぅっ!」
(うそ! 昨日で治ったんじゃないの?)
 そんなことの続きをを考える余裕を自分のお腹は与えてくれそうにない。
(とりあえず! 行かないと!)
 掛け布団を払い除け、トイレまで猛突進する。
 トイレに駆け込み痔を患ったお尻が便器にセットされた途端に一昨日からかなりの頻度で聞いている音が鳴り出す。

  ブジュジュッ! ブビチビチビチーーーーッ、ブビッ!!
  ビリュジュゥゥーーーーーーーー、ブポッッ!
「はあ、はあ」
 こんどは、別の理由で荒い息が出る。
「っぁ、ぁぁっぁ……」
 痔が痛み、小さな悲鳴を発する。

  ブリュブリュブビビビビビィィィーーーーーッ!!
  ブビチビチビチブポッ!! ブジュポブビビブピピビビビビッ!!
 自分の意識の無いうちに第二波が発射される。
 この時、沙耶の鼻はほぼ麻痺を起こしていて、個室内が臭いとは思わなかった。
 だが、実際は下痢特有の匂いが充満していた。

  カラカラカラ
 ペーパーが巻き取られ下痢まみれのお尻がきれいになっていく。
(こんな夜中にあんな音立てっちゃって起こしっちゃってるよね……)
 心配先はこの部屋の主、柿村幸平である。
「っ、ぁ……」
 痔のところをふくたび悲鳴が出てしまう。
  ゴボボジャアアアアァァァーーーーーーーッッッ!!

(終わった……また、飲み物もらおう……)

  ブーーーーーーーーッ!!
 と最後にかん高いおならを鳴らして、トイレを後にした。
 そして、台所兼リビングに行こうとして気づいた。
(あれ? 電気ついてる。切り忘れたのかな?)
 そう思いリビングへ行くと違った。
 柿村は机に向かってパソコンをいじっていた。
(まさか……エロサイト……いや! 柿本くんに限ってそんなことはない! でも、もしかしたら……)
「ん? 起きたの? まだ早いよね」
 と向こうから声をかけられた。
「あ……またお腹痛くなっちゃって……」
「そう、なんか飲む?」
 といって冷蔵庫の方へ向かう。
 何故か、沙耶はパソコンが気になって、画面を見に行ってしまった。
 そこに写っていたのはエロサイトではなく、沙耶もしているネットゲームだった。
「ああ、それ今リア友でちょっとやってるんだよ。まあ週末の楽しみだよ」
 清涼飲料水とコップを持って冷蔵庫から戻ってきた。
「これ……わたしもしてる……」
「そうなんだ」
 コップに清涼飲料水を入れて渡してきた。
「ありがとう……でもレベルが全然違う」
「なんというか……やりこんでるからなあ」
 と少々笑いながら答えた。
 そこで柿村は気づいた。
「服、かなり濡れてるね、変え持ってこようか?」
「あっ……見ないで!」
 とついつい透けて見えてしまってる部分を隠してしまう。
「ごめん、服持ってくるから風呂場にいて」
 と申し訳なさそうに服を取りに行く。
(ああ、またやっちゃたよ! なんで強く当たっちゃうんだろうな)
 そんなことを考えながら言われたとおり風呂場へ向かう。
 風呂場は洗濯機が予約状態で佇んでいた。
「なんか一人暮らしというだけあって家庭的だなあ……」
 ここに来たときたら感じてことをつい口に出してしまう。
「これ着て」
 とドアから服を持ったてだけを出して言われる。
「ありがとう。今着てるのはどうすれば……」
「洗濯機に入れといて、あとタオルはそのへんにあるの適当に使って」
 沙耶が服を受け取ると、重さで感じたのか手を引っ込めドアを締める。
 沙耶は服を脱ごうとするが汗でへばりついてうまく脱げない。
 脱げて、洗濯機の上に脱いだものを置いていく。
 言われたとおり置いてあったタオルを使って、汗でかなり濡れている体を拭いていく。
(何から何までしてもらって申し訳ないよ……そろそろ私もなにかしないと!)
 と、現在全裸でガッツポーズをとる。周りから見ればただの変態にしか見えないのだが、当の本人に自覚はない。
 しかし、その手が震えている。いや、手だけでなく全身が震えていて、足元がおぼつかない。
(だめだ……私は……だめなんだ……)
 心ではそう意気込むも結局足の震えが止まらずこけてしまった。
  ズドーーーン
 盛大な音をならしてしまう。
「どうしたの!」
 とすかさず柿村が飛び込む。
「ひっ! ぅぅぇえ……えぇぇぇ……私は……私は……」
 と今度は盛大に泣き、柿村に抱きつく。
「よしよし」
 と何も聞かずに慰める。


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 結局あのあと、理性を取り戻した沙耶は全裸に気づき、顔を真っ赤にして柿村を追い出し、服を着た。
 そして、リビングに至る。
「さっきは……ごめんなさい……自分があんな音立てたのに……」
「いいよ。理性が戻ったあともしばらくいた俺が悪いんだし」
「でも……」
「もういいよ。そんなに自分を責めることはないんだよ」
「……」
「それはさておいて、今もかなり震えているけど大丈夫? あったかいもの淹れてくるよ」
「お願いします……」
 普段の沙耶なら断るところなのだが今回は断らない。それほどイレギュラーな状態なのだ。
 柿村もそれを察し、無言でお湯を沸かし、あったかい飲み物を作ろうとする。
 沙耶は毛布を貸してもらっているのだが、それを羽織っていても震えている。かなり危険な状態かもしれない。

 ほどなくして柿村が戻ってきた。
「……飲める?」
「大丈夫です……」
 そうは言ったものの、手が震えていてうまくとってすら持ててない。
「ちょっとまってて」
 そういうと、台所に消えていった。
 帰ってきた時には、小さなスプーンが握られていた。
「……それ……どうするの?」
 今にも消えそうな声で尋ねる。
「こうする」
 と答えて、沙耶の隣に座り、沙耶の飲み物をもち、スプーンですくい、口元にもっていく。
 つまり、あーん。というやつだ。
「これでのめるかな?」
 かなり心配そうに尋ねる。
「ありがとう……」
 そういって、すする。
 そして、何度かすするうちに震えが収まっていき、自分でコップを持てる程度には回復した。
「あの……すいませんでした。私が何かしないといけなかったのに……」
「そんな状態の人にはなにもさせられないよ」
「ありがとうございます……うっ!」
 うめき声をあげ、大慌てでコップを置く。理由は簡単だった。

  グピーーーゴロゴロゴロギュゥゥーーーッ……!

「すいません、トイレを……」
 そういってソファーから立ち上がったが、倒れそうになる。
 そこをなんとか、受け止める。
「一緒にゆっくり行こうか」
 優しく話しかけ肩をとり、ゆっくりとトイレに向かう。

 〜トイレ前〜
 結局、柿村は便器に座るとこまで付き添ってあげた。
 というか、それより前で離すと間違いなくうまく座れていなかっただろう。

  ビュリリブチュブチュブチュブリュリュリュブボッッ!!
  ビュボッ! ブビュビチビチビチビチビチ!! ブリブリブリブリブッ!!
  ブリリブリブリブリブウウウウウゥゥゥゥゥーーーッッ!!!

 ドアの外に居ても聞こえてくる轟音、それを聞かないようにトイレを後にした。

 〜トイレ〜
  ミチブリミチュイィィッ! ……ブポオオォォッ!!!
  ビジュビチビチプビヂビチブピュビヂブピイィィッッ!!!
  キュグゥグキュルキュルキュルルゥゥ!!
「ぁぐうっ!!」
 沙耶は、トイレに座り込んでいたが、その目に光は宿っておらす、もはや人形みたいだった。
 下痢と痔に苦しめられ、悲痛の声は出すが、沙耶にはだしてる、という自覚すらない。

  ブリビチビチビチ!! ブリブビピッブリブリリブリ!!! ブォリュッ!!
  ビジュブリブリリイィィッッ!! グジュブビビッピビビバブォッ!!
  グジュブリブリブピ!! プウゥゥッ! ブリジュビィィイイ!

 結局、下痢を出している間沙耶の目に光が宿ることはなく、意識を取り戻したのは下痢を出し切った実に20分後だった。
 それも、自分の意思ではなく、遅すぎて心配してトイレに来た柿村のノックの音だった。

(あまり、思い出せない……さっきまで柿村くんとトイレを目指していたのに……)

  ガラガラガラガラ……ビリッ……

 痔にあてないように、慎重に拭いていく。
 心配して来た柿村には、大丈夫。とドア越しに伝え、足に力が入らないのでドアの前で待っていてもらっている。

  ゴボジャアアアアァァァーーーーーーーッッッ……

 意識の無いうちに出した下痢に驚愕しつつ、座ったまま器用にショーツとズボンを履く。


  ガチャ

 トイレのドアが開かれる。
「お願いします……」
 そういって、おんぶしてもらってリビングまで戻る。
 おんぶしてもらっている間に、記憶が戻っていき、自分のした行いに羞恥をもち顔を赤らめる。


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 〜リビング〜
 もう一度暖かい飲み物を入れてもらって、落ち着く。
「落ち着いた?」
 本当に心配なのだろうか、机をかなり乗り出して、こちらを見ている。
「はい……」
「えっと……寝れるかな?」
「……ひっぅぅぅぅ……ぅぅ、ぅ……っ……!」
 さっき見た夢を鮮明に思い出し、泣き出してしまう。
「えっと……! これ!」
 といって、てんぱりながらもたまたまあったタオルを渡す。
「ありがとう……ぐすっ、ぐすっ……」
 泣き止まない沙耶をどうしたらいいかわからず、とりあえず、隣にすわりなだめてあげる。

 〜10分後〜
「落ち着いた?」
 ゆっくりと声をかける。
「はい……もう大丈夫です。落ち着きました」
 目が真っ赤だが、もう涙は出ていない。
「あの……お騒がせしました……」
「えっと……」
 言葉を濁らせる。実際なんて言ったらいいのかわからないのだ。
 さっき寝れる? と聞いて大泣きされたのだから。
「わがまま……聞いてくれる……」
 沙耶の方から切り出した。
「別に……いいよ」
「あのね……あの……」
 そうとう恥ずかしいのか、顔を赤らめるだけでなく言葉まで濁らしてしまう。
「えっと……その……いっしょに……いて……くれないかな……?」
 途切れとぎれだがなんとか言えた。
 柿村もなんとか聞きとったのか、
「いいよ。朝までなんか話そうか」
「えっ、でもそれじゃあ柿村くんが寝不足に……」
「もともと徹夜するつもりだったし問題はないよ」
 励まそうと、笑顔で答える。
 沙耶のいっしょにいたい宣言を繰り返さないように別の言葉を探し出す。
「あと……もうひとついいかな……?」
「いいよ」
「話……聞いて聞いてくれないかな……」
「話したほうが楽になることもあるんだ。いいよはなしてごらん」
「ありがとう……えっとね……この震えの原因でもあるんだけど……」
 こうして、沙耶の話は始まった。
 沙耶が長年抱え込んできて、今も現在進行形でかかえている、とんでもなく大きく自分では開けたくないパンドラに箱であり、今日の震えの原因である、夢の内容であった。
 決して楽しいものではない、誰が聞いてもそう言うだろう。
 それほどまで辛い話なのだから。


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 これは沙耶の過去の話

 沙耶は昔からお腹が弱く、雨の日の度に漏らしていた。
 幼稚園でもかなり言われて、毎度のように泣いていたが、先生が注意したらそれ以降はなくなった。
 幼稚園は私立だったため、小学校が同じ子はいなかった。
 小学校、入学式も雨が降っていた。

「お母さん……お腹痛い……」
「そう、ちょっと抜けましょうか」
 といって、前もって話をしている先生や新入生はともかく他の保護者から冷たい視線を送られた。

 〜トイレ〜
「沙耶、まだ大丈夫よね」
「うん……まだ大丈夫」
 そういうと、個室に飛び込んだ。
 スカートをたくし上げ、お母さんが買ってくれた好きなアニメキャラのパンツを下げ洋式トイレに座り込む。
 まだ小学校1年生、それも入学式、和式トイレが使えるはずもなかった。

  ブボポブピピビチビチビチビチビヂブパッ!!
  ジュドポブピビビビビピビビビビッ!!

 朝、しっかりと食べたごはんや卵焼きなどが色をそのままにして出てくる。
「……はぁ、はぁ、はぁ……」
  ブリリリリブオッ! ブピピッ! ブピビピピップビピピピピッッ!
  ビジュルブチビチビチビチビチチチチブビッ!!
  ブピッ! ブピピピッ! ブピピピブビビピッ……!

 結局、式には間に合わず教室で初めての学級会に遅れて参加するハメとなった。
 だが、周りは小学校一年生誰も責めるものなどいなかった。

 このあと、時沢沙耶さんはお腹が壊しやすいので、トイレなどは積極的に行かしてあげましょう。
 という内容のことが1年生全員に言われた。

 そのかいあってか、周りのクラスメイトは、苦しそうだったら沙耶に変わって先生に言ってくれたり、掃除中でも意地悪をすることなく、止めてくれたり。と様々なことをしてくれた。

 だが、そんな純粋なのは結局小学校低学年までで中学年、つまり3年になるとクラスメイトは変わってしまった。
 たとえ、授業中苦しんでようが見て見ぬふりをして先生が気づくまでトイレに行けなかったり、掃除中は、くさいからほかのところでしてよ〜。など遠くのトイレに行かされたり。と状況は変わっていった。

 そして、4年生のある日、事件は起こってしまった。


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 この頃になると沙耶には友達がいなくなっていた。
 あの子は下痢をするから臭い。というレッテルが貼られて誰も近寄らなくなっていた。

 6月14日、この日も雨が降っており、沙耶のお腹も悪天候だった。

  グルキュウゥゥ……
(……1時間目始まる前にトイレ行っておこ)
 そう思い、行動しようとしたが行けなかった。
「ねえ、時沢さん、この問題わかる?」
 と突然一度も話したことのないクラスメイトに話された。
 沙耶は話しかけらことが嬉しかったし、その問題はわかっていた。
「わかるよ!」
 元気に返事しその子の机に向かった。
 これ自体が罠なんてこの年の沙耶に気付けるはずもなかった。

 結局、1時間目ぎりぎりまで教えていた。
(あ……トイレ行ってない……1時間なら大丈夫よね)
 そう感じ席に戻る。
「はーい、授業始めるぞ〜きりーつ」
 先生が入ってきて、授業が始まる。

 沙耶の予定通り1時間目は乗り切れたが、

  グギュオオオォォォォ〜〜ッ!
 沙耶のお腹は悲鳴をあげていた。
 その額には大粒の涙がいくつも浮かんでおり、体で限界を訴えていた。
(はやく……いかないと……漏れちゃう……)
 お腹を押さえて出口へ向かう、しかし、
「みんな、今日もはやく着替えてね! 早く閉めれないから!」
 と鍵閉め担当の子が叫ぶ。
 2時間目は体育だ。
 沙耶も仕方なく席に戻り着替え始める。

  グリュリュリュリュゥゥッ!
(お腹いたい……着替え終わったらトイレにすぐ行こう)
 そう思い、いつもの2倍くらいのスピードで着替えて、教室を出る。そこで呼び止められた。
「時沢さん、今日いつもの相方いないんだ、良かったら組んでくれる?」
 クラスメイトが話しかけてきた。
 沙耶のクラスの授業は大体二人ひと組で何かをする。
 沙耶はいつも組む人がいないので先生としている。
 しかし今日は初めて組む人がいる。
 その喜びでついつい承諾してしまった。
「いいよ、よろしくね。あの……」
 トイレに行っていい? と聞こうとしたが
「ありがとう! じゃあ親睦ってことでなにか話そうか!」
 と向こうが自分のペースにもっていった。
 沙耶としてもそれは嬉しかった。

 結局トイレに行けず、2時間目を迎えてしまった。

(痛い! 痛い! トイレに行きたい!)
 と必死に心の中で懇願するも、それを声に出せずにいる。

  グギュルルグウウゥゥゥッ!
「っぁ、ぁぁっぁ……」
 痛みについ声が漏れてしまう。
「ちょっと〜変な声出さないでよ」
「ごめんなさい……」
 と素直にあやまり、なんとか体育を乗り切ろうとするも、体を動かすたび中身が出そうになる。
 それを必死にこらえたが通りすがった体育の先生に懇願してトイレに行かしてもらう。

(早く! 漏れる! 早く!)
 と思いっきりお尻を抑えながら走る。
 体育館にあるトイレに駆け込む。一番手前の個室に飛び込み鍵をかける。
 ズボンとパンツを勢いよく下ろしかがみ込む、出るのはほぼ同時だった。

  ブビビビビビビビーーーーーーーーッ!!
  プビチブビピビチビチビチビチビチ、ブポッッ!!
 朝からためていた下痢をここぞとばかりに絞り出す。

  ゴロゴログウウウゥゥ〜〜〜ッ!
「あぁ……ぁ……、あぅぅ……ううぐ……」
  ビリュリュリュリュリュッ! ブビチブジュリュリュリュリュッ!!

 次から次に出てくる。もう沙耶の校門は蛇口の壊れた水道のように歯止めが効かなくなっていた。

  ブリブリブーーーーッ!! ブウウウゥーーーーッ!!
  ビチビチビチビチビチブビッッ!! ブオッ!
  ブピッ! ブプポッ! ブビッビピピップビビビビビブボッッ!!

 沙耶がトイレから出てきたのは3時間目を30分も超えた後だった。

 〜3時間目終わりのとある女子トイレ〜
「やっぱりだめだったか」
「体育の先生を使うとは予想していなかった。ごめん」
 複数の女子が何かを談義している。
「もう、プランAは無理だよ。プランBにしようよ。そのほうが私たちは楽しくない?」
「そうだな、別に私たちが楽しめればいいんだし。よし! プランBでいこう」
 複数の女子の話はまとまったようだ。

 〜6時間目〜
  グウ〜〜〜ウウウウゥゥグ〜〜〜〜ッ
 現在授業終了10分前である。
(はあ、痛い……)
 沙耶のお腹はもう現時刻より10分前よりなりだしていた。
(あと10分……終わりの会をいれたら20分くらい、我慢できるよね……)
 沙耶はもうほとんど授業など聞いていない、というか聞けない状況にあった。

  キーンコーンカーンコーン
「ああ、もう終了か、手紙持ってくるからみんな座ってろよ」
 担任はそう言うと職員室へと戻っていった。
 沙耶はすぐに帰れるようにランドセルを早めに取りに行く。

  グウゥゥウウウウゥゥ〜〜〜〜〜〜〜ッ
 またもや鳴り出す。
(このちょうしなら……大丈夫!)
 そう思ったとき、通りすがりの女子にお腹を殴られた。
 普段の沙耶ならなんともないのだが今の沙耶は下痢を我慢している身である。
 つまり、

  ミチムリリッ!

  ゴロギュルギュルギュルギュルギュル!!!
  ムリュムリュブリュニチミチムリュモリモリムリリリリリブボオッッ!!!
  ブリュブリブリブリブリリブリュブリリリブリブリブリブバッ!!!
  グジュビチビチブチュビチュバチュブチュ!! ブバボボボビビューーッ!!

 我慢していた下痢が外に飛び出し、悲惨な状況を生む。

「はぁっ、ぁぁっあぁぁぁぁ……っ!」
  ブボビチビチビヂビヂブビビュビュビューーーーーッ!!!
  ビチブボボボボブボッッ!!! ブリビチビチビチブチブビッ!!
  ヂヂュビチビチビヂビチビチブポッ!! ブリュブポポポブボポポッ!!

「うそ」
「なにあれ、傑作じゃん」
「くっせー、さっさとトイレ行っとけよ」
 など様々な声が飛び交う。

(ああ、どおしよう! もらしちゃったよ!)
 しかし沙耶の思考はこれ以上続かなかった。

  ビビュービチビチビチビチビチビチビチビチビチビチーーッ!!
  ブリブリビュリュリュリュリュリューーーーーッッ!!
 暴れ狂う肛門。消化器のような勢いでパンツの中に下痢便が噴射されてゆく。
 大量の軟便がパンツの中を満たし、沙耶の思考を奪っていく。

  ブビビブブブブボッッ!! ブチュビヂチチチチチチッ!!

「ぁ、ぁっ、はあぁぁ……っ!!」
  ビヂビチビチチチチビヂヂビチビチビチチチチビヂチチチ!!
  ビチビチビチビヂブボッ!! グジュビヂビヂブピューー!!

「これはどういうこと!」
 と隣のクラスの担任が駆けつけた。
「なんか、急に時沢さんがもらしました!」
「先生、この臭い何とかして!」
 など多数の生徒が先生のもとへ走ってゆく。
「とりあえず! 全員早急に鞄を持って教室から出なさい! そしてそのまま帰りなさい!」
 と叫ぶと、揃いにそろって、あっという間に帰り支度を済ませ帰っていった。
 隣のクラスの担任は沙耶に近づき、
「大丈夫? 立てるかしら? トイレまで歩けるかしら?」
 と優しく声をかけ沙耶をなだめる。
 沙耶は無言で頷き立とうとした。

  ボチャッッ!!! ボチャベチャベチャベチッ!!
「っ!!?」
 たとうとしたら同時に沙耶のスカートの中から下痢が落ちてきた。
「大丈夫? ゆっくりたってね」
 表情変えずに優しく声をかけ、たとうとする沙耶を支える。
「……ぅぅうぅうひくっ! ぅぅぅぐぅぅう……っ……!」
「なかないの、生理現象だもの仕方ないでしょ」

  ボトッ!! ブリリリボトッ! ボトボトボトブビッ!!
  ボタボタボタボタボタボタボタボタボタッ!!!
 完全に立ち上がるの残っていた下痢がまた床に落ちていく。
「これは、どういうことですか!」
 と担任が戻ってきた。
「あなたは、私のクラスの生徒を早急に帰らしてください! あと他のクラスにもこのクラスを通らず買えるように伝達してください!」
 沙耶の担任はすぐに外に走っていった。
「トイレちょっと待てる? 他の生徒が帰るまで行けないと思うの」
 沙耶は何も言わずに頷いた。

 それから、5分後二人はゆっくりと廊下を歩いていた。

  グゥゥゥゴロゴロゴログウウウゥゥーーー……ッ……
 沙耶のお腹は先程から悲鳴をあげている。
「大丈夫よ、もう目の前だから」
 沙耶はもう一度前を見てトイレまでの距離を図る。
 トイレに着くと、先生は個室までついてきてくれた。
「下着はこれに入れてもってきなさい。多分教室にいるから」
 そういって、ビニール袋と紙袋を渡された。
 沙耶はそれを受け取ると、パンツを下ろし便器に座り込んだ。

  ビチビチビチビチビチビチビチビチブボォッッ!!!
  ドボドボドボドボドボドボドボッ!!!
  ブウウブゥーーーブゥゥブビビビビビビッッ!!
  ブゥゥドポドポドボドボドボドボォォーーーーッ!!
「はあっっ、はあっ、はあっぅっ……!」

  ブウウゥゥゥゥーーーッ!

 一息ついて改めてパンツを見る。
 もう、ただの下痢の塊みたいになっていた。
「……う、う、うぁーーーん!」
 自分のしたことを実感させられ泣かずにはいられなくなる。

  ドンッ!
 と急にドアが蹴られた。
「きめえんだよ! ないてんじゃねーぞ! 下痢女!」
「臭いんだよ! 早く死んでくれない」
「こんな人間存在意義なんてあるの? きゃはは」
 と複数の女子が沙耶の個室に向かって叫ぶ。
「なんで……帰ったんじゃ……」
 沙耶は驚きつつもつい言ってしまう。
「は? ふざけてんの? 今のお前に喋る権利なんかないんだよ!」
「まさか、今日の関わったから友達。なんて思わないでね。あんたみたいなのが友達なんて認めたくないし」
 それは今日朝勉強を聞いてきた子だった。
「お前にはな! 友達なんて、いないんだよ! 後世一生いねーんだよ! わかったらさっさと死ねよ」
 今日、一緒に体育をした子までいた。
「そうだよ! 黙れ下痢女!」
「下痢女!」
「下痢女!」
 と下痢女コールが続く。

  ……ギュルゥゥッ……ゴロゴロゴロゴロゴロ……
  ゴオォォギョロロロロォォォ〜〜〜ッ
  ブリビチビチビチ!! ブリブビピッブリブリリブリ!!! ブォリュッ!!
  ビジュブリブリリイィィッッ!! グジュブビビッピビビバブォッ!!
  ブォブゥウッッ!! ブジュビチビチィィィッ!! ブビビビブプゥウゥッ!
 下痢を止めておくことが出来ず噴出してしまう。
「うわっ! こいつやりやがった!」
「話の最中だぞ! わかってんのか!」
「話の最中に下痢をしてはいけませんってならわなかったか! 下痢女!」
 またもや何発もドアが蹴られる。
「おい! このこと先生どもにはチクるんじゃねーぞ、チクったらわかってんだろーな! ああっ!」
「下痢して他人に迷惑しかかけない下痢女にわかるわけないじゃん、ちゃんと説明してやんな」
「それもそうだな。こんなはた迷惑な人間にわかるわけないか」
「下痢女! 耳の穴かっぽじってよーく聞いとけ! チクってみろ、お前の想像できないくらいいじめてやる! チクるたびに、よりひどくしてやるから、チクリたきゃちくればいいけど、お前がしんどいだけだぞ」
「わかったら、さっさと死ねよ、下痢女。邪魔なんだよ」
 そう言って最後にドアを一発けって複数の女子は先生に見つからないように帰っていった。

「っぁぁぁ……わぁぁぁぁん!」
 複数の女子が帰ったあと、沙耶は猛烈に泣いた、泣きじゃくった。
 沙耶の面倒をみてくれた先生が来たが、泣いていたためそっとしてあげようとトイレを後にした。


 この日以来沙耶は先生の目の届かないところでいじめられるようになった。
 内容も普通のいじめを超えていて昔のドラマでしかみたことないようなことをしていた。
 沙耶はこれ以上ひどくされないために必死に隠そうとした。
 しかし、それがより面白くどんどんエスカレートしていった。
 もちろん脅されたように、親や先生には一切話さず、学校楽しい?の質問に作り笑顔で楽しいよ。と答えていた。


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 それからも沙耶はいじめられ続けて林間学校や修学旅行などは格好のいじめ場所となっていた。
 それでも、沙耶はめげずに親にも先生にも話さず、一人で家で泣いて耐えていた。
 沙耶は両親は、父親が代理人になった借金を返すため共働きであった。
 つまり普段は家では一人なのだ。
 だから、家では思いっきり泣いて、次の日へ備えていた。

 そして、沙耶は卒業式を迎えた。
 しかし、嬉しいことなどなかった。
 沙耶は私立の中学に行ける実力はあった。
 沙耶自身も行きたかったが、両親が苦労していることはよく知っていたので小学校の人間がたくさん行く地元の中学に行くことになっていた。
 沙耶がいじめについて話さなかったのは、これ以上苦労をかけたくない。という親孝行の精神からきているものだった。

 沙耶が地元の中学に行く。ということはまたいじめられる。ということである。
 そのため沙耶はまったく嬉しくなかった。

 中学校に入ったが、クラスのほとんどが小学校からの人間だったので沙耶は溶け込むことができなかった。
 だが、たまたま勧誘を受けた吹奏楽部が沙耶の中学生活を大きく変えた。

 吹奏楽部に熱烈に勧誘され、家で泣いているよりは楽しいだろう。と思い入部した。
 ここの吹奏楽部は奇跡に近かった。
 なぜなら、小学校の人間が誰もいなかったのだ。
 沙耶は思う存分楽しもう。と思った。
 先輩も同級生も優しかった。
 同級生は、沙耶が下痢女などを聞かされたっぽく、部活以外では関わってこなかったが、その分部活で優しくしてくれた。
 その反対でいじめはひたすら続いていた。
 そして、またもや梅雨のある日、
「さやちゃん、大丈夫すっごい雨降ってるけど」
 同じパートの同級生が話しかけてきた。ちなみに沙耶は中学時代からサックスパートだ。
「大丈夫……じゃない……すっごくお腹痛い……」
「休んでいいのに、なんで休まないの?」
「私が休んだら迷惑かかるじゃない……」
「かからないよ、とりあえずトイレ行っておいで」
「ごめんね……甘えさせてもらうよ」
 この時、同級生は雨の音で聞こえなかったが、沙耶には聞こえていた。

  ゴロゴロギュルルルルルルルルッ!!
 という、完全にお腹を下している音を。
(とりあえず、トイレに行こう……)
 ゆっくりとトイレに向かう。
 トイレは個室が4つ並んでいる。
 和式2つに洋式2つだ。
(今日洋式しかあいてないか……)

  グルルルルルルル……ゴロゴロゴロ……
 正直和式でしたいが待ってる余裕はない。
 洋式に入ろうとしたとき、聞こえてきた音に驚いた。

  ブビビビビビッ!! ブジュビシュゥゥゥゥッ!!
  ブリュビチビチビチビチッ!! ブジュルルルルルルッ!!
  ブリュブビュルルルルルルルルッ!! ビィィィィィィィッ!!
 隣の個室にいる人も同じくお腹を壊していたのだ。
(えっ、大丈夫かな……でも、今は……)
 そう決心し、個室に入り、スカートとショーツを下ろす。

  ブッ! ブリリリリュッ!! ブジュブジュビヂュビィィッ!!
  グジュビジュビヂヂヂィィッ!! ビチブチュビチブリュリュリュゥッ!!
  ビュビビチビチチッ!! ブゥビブピビィビビビィィーービビッッ!
 便器に座ったとたんに出てきた。
(やっぱり……痛い、今日は帰りたいな……)
 そんなことを考えていた。

 10分後トイレから出てきた沙耶は音楽室ではなく部室にいた。
「ええと、先生によると。ことあと雨がもっと降るそうなので今のうちに帰れ。とのことです」
 と部長が定時報告をする。

 そのあと、部員は楽器を早く片付けさっさと揃って帰ってしまった。

 帰り道、沙耶はひとりである。
 好きで一人というわけではない、部活の人が誰も沙耶の方角ではないのだ。
 だが、正直今は一人の方がよかったりする。

  クルギュルギュルギュルゥーーッ グギュウウゥゥゥーーッ! キュルキュルキュルルゥゥゥゥーーッ!
 お腹からなる音、つまり下痢である。
(寒い……やっぱりお腹壊したかな……)
 沙耶は早足で家路を歩いていた。

 10分後沙耶は家に着いていた。同時に限界状態でもあった。

  キュルキュルキュルルゥゥゥゥーーッ! ギュルギュルギュルルル……ッ……
  グピィ〜……ギュルルル〜……グウゥゥゥ〜〜〜……
(鍵! どこだっけ!)
  と制服をひたすら漁る。
「あった!」
 とつい声に出してしまう。
 鍵を鍵穴にさし、ガチャガチャ鳴らしながら回す。
 ドアがあきすかさず飛び込む。
 ドアは対して開けていないので自動的に閉じていく。
 沙耶は靴を脱ぎ捨て、トイレまで走る。
 走りながらホックを外し、スカートとショーツ握りドアをあけ、飛び込み握っていたものをおろし、座り込む。

  ムリュムリュブリュニチミチムリュモリモリムリリリリリブボオッッ!!!
  ブリュブリブリブリブリリブリュブリリリブリブリブリブバッ!!!
  グジュビチビチブチュビチュバチュブチュ!! ブバボボボビビューーッ!!
  ビチブボボボボブボッッ!!! ブリビチビチビチブチブビッ!!
  ヂヂュビチビチビヂビチビチブポッ!! ブリュブポポポブボポポッ!!
  ブォブゥウッッ!! ブジュビチビチィィィッ!! ブビビビブプゥウゥッ!
「はあ〜まにあった〜」
 というため息が漏れる。

  ギュゴロロォ〜……キュゥー……
  ビジュブリブリリイィィッッ!! グジュブビビッピビビバブォッ!!
  ブリブリビチビチビヂジュビチビチブリブビィッ!!!
(痛い! 痛い! いつもなんでこんな痛いの!)

  ゴボジャァアーーーーー……
 10分後沙耶はげっそりした顔でトイレから出てきて玄関に向かった。
 家の鍵を閉め鞄をもって階段を上り、自分の部屋に行く。

 この日、沙耶は何度もトイレに駆け込み、何度も下痢を放出した。
 後半はもう形を留めておらず、ただの汚水となっていた。


 この日を境に部活の雰囲気が変わってしまった。
 部長だった人がやめてしまい、次期部長を決める話し合いがあったそうだ。
 部員が早く帰らされたのはこれを聞かれないため、らしかった。
 選ばれた次期部長は厳しい人で沙耶が下痢で苦しくて休んでいてもそれを認めてくれないような人だった。
 そんなある日、沙耶を苦しめる悪夢が再来する。


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 この日は沙耶が風邪をひいてしまい下痢が一段と酷くなっていた。
 だから、休んでいたのだが、
「時沢! 情けないぞ! 風程度で休むとは! 早く吹け!」
 部長の言葉に圧倒され、楽器を持ち上げようとするが、

  ゴロゴロゴロロロ……グググウウゥゥゥ〜……グリュリュルルルゥゥ……グリュ、ゴポコポッ……
 沙耶のお腹から嫌な音が鳴り楽器を持ち上げれなくなる。
「時沢! ちょっとこい!」
 とかなり怒り状態で沙耶を呼び出す。
 沙耶はお腹を抑えながら部長についていく。
 廊下に連れてこられた
「いいか、時沢。我々は練習あるのみなんだ! ……」
 と長ったらしい説教を始めるが沙耶には頭に入ってこない。

  キュルキュルキュルルゥゥゥゥーーッ! ギュルギュルギュルルル……ッ……
  グピィ〜……ギュルルル〜……グウゥゥゥ〜〜〜……
 お腹が発する音によってまったく頭に入らない。
「あの……すいません……」
「なんだ、まだ話し中だ。後にしろ」
「はい……」
 圧力をかけられ何も言えなくなる。
(はやくおわって! もう、もれそうなの!)
 しかし、そんな悲痛な願いは聞こえることはなく、ひたすら説教を続けている。
(もう……だめ……)
  ゴロギュルギュルギュルギュルギュル!!!
「ああぁぁぁぁ……」

  ムリュムリュブリュニチミチムリュモリモリムリリリリリブボオッッ!!!
  ブリュブリブリブリブリリブリュブリリリブリブリブリブバッ!!!
  グジュビチビチブチュビチュバチュブチュ!! ブバボボボビビューーッ!!

「はぁっ、ぁぁっあぁぁぁぁ……っ!」
  ブボビチビチビヂビヂブビビュビュビューーーーーッ!!!
  ビチブボボボボブボッッ!!! ブリビチビチビチブチブビッ!!
  ヂヂュビチビチビヂビチビチブポッ!! ブリュブポポポブボポポッ!!
  ビビュービチビチビチビチビチビチビチビチビチビチーーッ!!
  ブリブリビュリュリュリュリュリューーーーーッッ!!

「ぁ、ぁっ、はあぁぁ……っ!!」
  ビヂビチビチチチチビヂヂビチビチビチチチチビヂチチチ!!
  ビチビチビチビヂブボッ!! グジュビヂビヂブピューー!!

「……ぉ、ぁ、ぉぁぁぁ……」
  ブリビヂヂブリッッ! チュチブチュブチュブチュッ!!
  ピビビビチビチビチビチビヂビヂビチビチビチ!!

「っぁ、あぁ……っ……」
  ブビュルビュルビチチチチチチチチ!

「うわっ! なんだよ! トイレぐらいいえよ! ああ、もおいい! 自分で片付けしろよ!」
 部長はそう言うと逃げていった。
 他の部員も見ているが手伝おうとも声をかけようともしない。
「……っぇぇぇええぇ……ええぇんっ……ぅぅえええんん……」
 泣きながら掃除をしていたが、誰も見て見ぬふりをしていた。

 翌日、沙耶は部活に行ったが視線が小学校と一緒だったので、涙を浮かべて速攻退部した。

 部活。という逃げ道をなくした沙耶は毎日家で泣きじゃくった。
 長期休暇を除いた毎日、卒業まで、家で泣きじゃくっていた。
 いじめに耐える方法を家で泣く。以外知らなかった沙耶は本当に親にバレないよう泣きまくった。

 そして、3年になり親と志望校の話をした時に、ついに地元を離れたい。と親に告げた。
 親は、それでどうしてもいたくないことは察し、地方へ行くことを許してくれた。
 それが今通う現在の高校である。


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 そして沙耶は高校生となった。

 高校に入っても、沙耶はちょくちょくお腹を壊してトイレに駆け込んでいた。
 それが下痢だとばれて、クラスの人は沙耶を避けた。
 いや、正確には一人だけ沙耶に構ってきてくれた人がいた。
 それが霧宮楓である。
 彼女はとてもいい人だった、いつどんな時でも沙耶を守ってくれた。

 だけど、私には後世一生友達がいないから、彼女は友達にはなれない。といつも自分に言い聞かせていた。

 そして、一部でかなり広がり沙耶に軽蔑の視線を浴びせる人は増えていった。
 だが、今回は違う。どんな時でも楓は見方をしてくれた。
 一度だけ、沙耶は楓に聞いたことがある。
「なんで私の見方をするの」
 と、そんな沙耶に楓は
「なんで、逆に差別するの? 私にはする意味がわからないしするメリットもないからね」
 とあっさり答えてくれた。

 そして2年になって、楓が沙耶を今の部活に誘った。
 最初は断っていたが、見学だけ行くことにしたのだ。
 行ってみたら印象と全く違って自由な感じで3年がいない、というのもまたよかった。
 沙耶は入部届けをその日中にすぐ出した。

 そこで、沙耶は今の楽しい生活を送っている。


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 沙耶の話が終わり、柿村は顔をあげる。
「そんなことがあったんだね……こっちこそ今まで何も考えずにごめんね」
「いいよ。私が話さなかっただけだから。いや〜話したらなんかすっきりしたよ。聞いてくれてありがとう」
「……」
 柿村はどう答えていいのかわからなくなっていた。
 これからどうはなせばいいのか、今はなんて言うべきか。など様々な事を考えていた。
 と、同時に柿村も自分の思い出したくない事を思い出していた。
「柿村くん、そんなに考え込まないで。今まで通りでいいよ、私は何も変わってないんだから」
「……そうだな。ありがとう」
「実はね、楓にもまだ話してないんだ。今の話……」
「話したくないなら話さなくてもいいんじゃないか?」
「いや、なんか話したら楽になったから今度話してみるよ」
「そう、あっ、なんか飲む?」
 気がついたら、沙耶は飲み物を全て飲み干していた。
「お願いします」
 笑顔でコップを渡す。
「お飲み物は何にいたしましょうか?」
「コーンスープでお願いします」
 と洒落た会話をやり、柿村は台所へ向かう。
(はなしっちゃったなぁ。でも気が楽になった気がする)
 下半身にむずむずする感覚を覚え、立ち上がる。
「立てる?!」
 と台所から走ってくる。
 一方の沙耶は結局ふらついてソファーに自動的に座る。という形になってしまった。
「肩貸そうか?」
「ごめんね、お願い」
 結局、柿村に肩を貸してもらいトイレまでたどり着いた。
 立てないので便座に座りながらズボンとショーツを脱いでいく。

  シュウウゥゥーーーチュゥシュィィィーー……ッ……シィュゥゥーーーー……
 おしっこが勢いよく出てきた。
 だが、それを忘れさせるレベルの脳内警報が発令される。

  グゥゥゥゴロゴロゴログウウウゥゥーーー……ッ……
「っ!!」

「ぐぅっ……!」

  ブリブリブリブリブリッ!! ……ブリリ、ブリブリブビッ!

「……っぁ、っぁあぁぁ……ぁ」
  ジュビチチュチチュチチ……ッ……ブポッ!!
  ブビュチッ! ……ブリビュチビチブチュブビビィ……ブリリッ!

 10分後、なんとか台所にいる柿村を呼び、ソファーまで運んでもらう。
「ごめんね……」
「別に、仕方のない状態じゃないか」
「……本当にごめんなさい」
 ソファーに下ろしてもらい、コーンスープをもらう。
 コーンスープを一口すする。
「おいしい……」
「別にスーパーで特売してたやつを買っただけだよ」
「やっぱり、入れる人の技術ってあるのかな……」
 柿村は嬉しそうに、恥ずかしそうに頭を掻いた。


 この2人にとって長い夜が明けてゆく。



<あとがき>

 2度目の作品となります、みそかつ。です。
 前回に書いたとおり 続きであり、沙耶の過去編です。
 宣言しとかないと書きそうなので宣言しておきます。「6月25日はこれでおわりです!」
 いや、頭の中にいろんなことが思いついているのですが、なぜかこの6月25日に組み込んでしまうんですね。
 なぜでしょう?(笑)
 番外編で6月25日の昼間の話書いてみたいです。
 あと、本文で書けなかった設定を一つ、彼らの通う学校は土曜日は休み。という設定です。
 じゃないと、この話の後彼らは学校に行く羽目になるますね(笑)
 もう一つ、これシリーズものにする予定です。
 というわけで、シリーズ名募集します。
 BBSのわたくしみそかつのコメントに返信で打ってください。
 いいのを採用したいと思います。

 ここから雑談です。
 正直、私事ですがあまりおもらしがすきではありません。
 今回は、ストーリー上やむおえず入れましたが、今後は入れる予定は今のところありません。
 前回の『あとがき』に書いた部長のお話、あれ次の次になる予定です。
 こんな、ふつつかものの物語にお付き合いください。


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